米中当局の公告によると、米国は中国に対する関税率を5月14日までに145%から30%に引き下げる。中国は米国産品に対する関税率を125%から10%に引き下げる。いずれも期間は90日間。
米中が相互関税の引き下げで合意したことについて、中央社の伝えたアップルサプライチェーンのある幹部は、一息つけるのは間違いなく、高関税を回避するためインド、ベトナム、ブラジルに急いで新規生産ラインを立ち上げていた台湾系サプライヤーは、コスト負担が短期的に緩和されると述べた。
ただ一方で中央社は、アップルのティム・クック最高経営責任者(CEO)が25年5月初旬の投資家向け説明会で、関税リスクに対応するためにサプライチェーンの生産能力を再配置しており、25年第2四半期には米国市場向けのiPhoneの大半をインド工場で生産、iPad、Mac、Apple Watch、AirPodsの米国向けほぼすべてをベトナム工場で生産すると述べたと紹介。先の幹部も、アップルサプライチェーンが、地域毎の製造と市場リスク分散の方向に向かう趨勢は長期的には変わらないとの見方を示し、iPhoneのみならず、iPad、Mac、Apple Watch、AirPodsも、それぞれの市場要件に応じて生産拠点を分散させていくとの考えを示した。
この他、調査会社DIGITIMES Researchのアナリスト周延氏も中央社に対し、米中の相互関税引き下げはアップルのサプライチェーンに短期的な緩衝材料を提供するが、「地域別生産・リスク分散」という長期戦略自体は揺るがないとの見方を明らかにした。
ただ一方で周氏は、アップルサプライチェーンが米国市場の需要に応じてインドにおけるiPhone生産能力の拡大を続けているが、EMS(電子機器受託製造サービス)・ODM(設計・製造の受託)をはじめとする台湾系業者は、中国の拠点を手放すつもりはないと指摘。日本、韓国、EU向け等、米国以外の市場向け製品生産については、成熟したサプライチェーンやコスト競争力、技術の蓄積のある中国生産が依然として有利だとの考えを示した。
【関連情報】
【EMS/ODM】関税の影響、アップルサプライチェーンが最大 モルスタ指摘 台湾報道
【EMS/ODM】Radiant会長「顧客は非常に冷静」 MacBookとiPadにバックライトモジュール供給
【産業動向】米の二次的関税、アップルに「計り知れず完全に制御不能」なリスク 著名ウオッチャー
【携帯】iPhoneの2025〜27年ラインナップと発売時期 著名ウオッチャー予想
【携帯】25年iPhone出荷見通し、前年比2%減に下方修正 関税影響 JPモルガン・チェース
※中国・台湾市場調査ならEMSOneにご用命ください。台湾のシンクタンク、TRI社との共同調査にて、最新の情報をお届けいたします。
先ずはこちらまでご相談ください。
※EMSOneでは日系企業様に向け、コストダウンに向けた各種アウトソーシングサービスの提案を行っています。EMS或いはODMを通じたコストダウンについて
はこちらをご覧ください。